園長のひとりごと
子どもたちをみつめて ー2020年ー
2020年4月
園だより 4月 畑山
縁側を覆っていたブルーシートも取り除かれ、まだやや冷たさの残る春の風がちょっとだけ開け放された窓から新しい風を運んでくれる。6名の卒園児が元気に羽ばたき、その後定員を20名に下げたみどり保育園だが、新しく入園した2名を迎え21名で元気にスタートした。人数が少ない分、きめ細かな保育が出来ることだろう。
進化しつつある「見守る保育」は、「見ているだけ」ではなく子どもが食いつくように遊びを仕掛けていく保育も加わってきた。子ども達の心や意欲や好奇心や探求心をくすぐる保育は何か。子どもたちがやり切った満足に浸りそれが次の挑戦へと結びつく、自己肯定感に溢れる保育とは何か。遊びの空間としては他に類を見ない園内外の環境の中で、保護者の皆様と共に子育てのお手伝いが出来ることに喜びを感じている。ご家庭では今まで通り十分な愛情でふんわりと包んであげてほしいものです。令和2年度、コロナウイルス感染症に気を配りながらも、参観日も楽しんで行きましょう。みどり学童クラブも同じように、様々な体験を提供したいものです。1年間、よろしくお願いします。 園長 畑山玲子
2020年5月
2020年6月
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2020年10月
2020年11月
2020年12月
2021年1月
「手仕事」
哲学博士のシュタイナーが考案した「シュタイナー教育」。「手仕事こそが知性」というシュタイナーの言葉通り「手仕事遊び」には手先の器用さだけでなく、集中力、知的能力の土台、そして一端始めたら途中で止めてはいけないというルールによって、忍耐力も身に付く。つかむ、ちぎる、にぎる、ねじる、折るなど、巧みに指先を使う能力は、スマホの普及によって現代人が失いつつあると言われているが、それでも、幼少期からきちんと手仕事の体験を積むことで、常に創造的に何かを生み出せる人間でいられると思う。そしてそれは確実に生きる力に繋がるはず。
みどり保育園では毎年雪に閉ざされるこの時期に、沢山の手仕事遊びを準備している。葉書より少し小ぶりの紙に刺繍糸で刺繍していく紙刺繍、映画「君の名は」でお馴染みの組紐、毛糸で編む指編み、ビーズ、そして年長児だけが取り組む“権利”のある機織りなど。どれも挫折しそうになる気持ちを自身でコントロールして、気長に何日も掛けて完成を迎えなければならないが、苦労するほど大きな達成感に繋がっていくのだ。豪雪の兆しが見えるこの冬は、じっくりゆっくり、職員も一緒に手仕事遊びに取り組みたいものだ。その成果をぜひ玄関に飾ってお見せしましょうか。出来映えの良さではなく、取り組み続けた証を、ぜひ評価してもらいたいです。
園長 畑山玲子
子どもたちをみつめて -2019年-
2019年4月
2019年5月
2019年6月
2019年7月
2019年8月
2019年9月
2019年10月
2019年11月
2019年12月
子ども達をみつめて-2018年-
2018年4月
2018年5月
2018年6月
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2018年10月
2018年11月
2018年12月
2019年1月
2019年2月
子どもたちをみつめて-2017年-
2017年4月
2017年5月
2017年6月
2017年7月
2017年8月
2017年9月
2017年10月
2017年11月
「なんと、こごさ来るといっつも珍しいもの見れで、おもしれな!」と、私の頭上で語ったのは、赤いバイクの郵便屋さん。春にあきとくんのお父さんから戴いた「エゴマ」の苗が見事に育ったので、興味を持った数名のこども達と収穫した後の天日干し作業中の出来事です。ブルーシートを舟形にした中で日に日に乾燥が進むエゴマは、ちょっと持ち上げて叩き下ろすと、ブルーシートにこぼれ落ちる小気味よい破裂音とともに薄いグレーの小さな実を積もらせていく。紫蘇の実に似たサヤはこれも紫蘇そっくりのさわやかな香りを放ち、けっこう子ども達にも人気です。1歳児の子でさえ「もっと」と何度も嗅ぎたがり、香りを脳の記憶中枢にインプットさせているようにも見えます。しかし、エゴマが「食べ物」に変わるまでの行程はそう簡単ではありません。私が子どもの頃祖母が「箕」と「風」を利用して小豆の選別をしていた姿に魔法使いを連想したが、今回私は敢えて祖母の姿を思い出しながら「みどり保育園のおばあちゃん」になってその文化を伝えていきたいと密かに考えているのです。白割烹着にあねさんかぶりでもしたら、気分は昭和に戻りそう。園長 畑山玲子
2017年12月
2018年1月
2018年2月
2018年3月
子どもたちをみつめて-2016年-
2016年4月
2016年5月
2016年6月
2016年7月
「雨の日こそ、感動がいっぱい」
外遊び中に雨が降りだしたら、以前の私たちは「雨が降り始めたよー、中に入るよー!はやくはやく!」と子ども達を急かして一目散に園舎の中に入っていた。もったいないことをしたな・・・。 最近は逆。「雨が降っているから傘をさしてお散歩に行こうよ」と誘い出す。子ども達も「やったー!」と園に備え付けの長靴を履いたりしていそいそと準備を始める。1歳児だってカッパを着て雨の中で遊んでいる。“雨降りにわざわざ外に行かなくても・・・”と近所の方は見ているかもしれないが、雨の日にしか味わえない感動があるから。日照りでぐったりしていた畑の野菜や草花が生き生きと背伸びをし、雨だからこそ元気を出すカエルが子ども達を先導するかのように現れ、傘を打つ雨のしずくが頭の上でポンポンと音楽を奏でる。にわかにできる水たまりをパシャパシャ歩く快感は最高。多少は濡れたって平気なのは園に戻れば暖かいシャワーもあるし、何と言ってもおうちの方がたっぷり準備してくれる着替えの服があるから。だから子ども達も職員も、雨ならではの世界に飛び出していくのです。
園長 畑山玲子
2016年8月
『大人へのあこがれのスイッチ』
たぶん、こども達は大人へのあこがれの気持ちで育っていくのだろう。「どうして先生たちのご飯は大盛りなの?」「どうして先生たちはパソコンできるの?」の質問の多くに都合良く答えてしまっている「大人だから」の言葉。しかしこども達は実によくその大人達を観察し、あこがれの気持ちを持っている。最近のあこがれの的は、作業中の佐藤組のみなさん(全員、大工さんと呼ばれている)。今でも一輪車で砂を運び、シャベルで斜面をたたいて築山の芝生張りのかっこよさをまねている子もいる。 いま、みどり保育園では多くの大人と関われるように、寅田さんや、ミニディの皆さんや、泉さんなど、園外の方においでいただいているが、ジェフ先生との交流の始まりもありがたいところ。この、さまざまな方との関わりは、キャリア教育にも確実につながっているので、小規模園だからこそ、たくさんの大人と触れあい、あこがれの気持ちを膨らませてやりたいと思っている。 そういえばいつだったか「大きくなったら寅田さんになる!」と言った子がいたが、まさにそれこそがあこがれのスイッチを押した瞬間だったと思う。 園長 畑山玲子
2016年9月
2016年10月
「花を愛でる心」
やっと咲き出した黄花コスモスを、誰から教えられたわけでもないのに『かあ(わ)いいねぇ』と愛でながら摘み取る1歳児。園内には子ども達が自由に摘み取って触れられるように花をいっぱい植えている。俗に言う雑草の中にも、ほんとにかわいらしい花がいっぱいで、子ども達は自由に摘んではままごとの材料にしたりもする。このところの人気はフウセンカズラとホウセンカの種取り、そして春から続くお楽しみは真っ赤なサルビアの蜜吸い。先日近所のおばあちゃんが遊びに来てくれると、小さな手にサルビアをいっぱい摘んできて「おばあちゃん、これおいしいよ。いっぱい吸うと大きくなるからね!」って、おもてなしをする何ともかわいらしい光景を目にした。松葉ボタンの赤い汁を年長児は染色の材料にし、小さい子達は水と合わせ『ジュースだよ』と喜んでいる。誰かの誕生日には必ず数名の子が園庭の花でミニブーケを作りプレゼントしてくれるようになった。春から夏にかけては花も色とりどりだったが、ついこの間はブーケの中に猫じゃらしのようなのが混ぜられており、季節の移り変わりを感じた。さて、そのお祝いのブーケ、冬になったら子ども達はどうするのだろうか。先回りのアドバイスをせず、子ども達の工夫を信じてみたいと思う。 園長 畑山 玲子
2016年11月
「岐路に立つとき」
30日に行われた「こどもまつり」で会場内の多くの人を夢のような世界に導いてくれたジャグリングクロさん。秋田県の前は福岡県で公演し、次は網走刑務所で受刑者に希望を与えるとか。クロさんとみどり保育園とのお付き合いはもう6~7年続き、クロさんを知っている小中学生も多い。クロさんは2007年の芸王グランプリ№1や、カプラ高積み11m64cm元日本記録保持者<現在2位>など輝かしい芸歴の持ち主。ファーストフード店店員時代に遊び半分にジャグリングを披露したら予想外の大受けで、それをきっかけとし海外で修行を積み今の職を確立したとか。大きな岐路はどこに潜んでいるかわからないものだ。おそらくみどり保育園の子ども達もいつかは大小様々な岐路に立つはず。悩んだときは誰かに相談しながらも、自分の人生を自分で決められる人になってもらいたい。失敗しても誰かに責任を押しつけるようなことはしてもらいたくない。今、みどり保育園では、自分で遊びを選択し、考えながら遊べるようにしているのも、実は今後来るであろう大きな岐路に立った時に、自身で決断できるようにしてあげたい、という意味もある。
園長 畑山玲子
2016年12月
「甘えを受け止める」と「甘やかし」
たのしみ会の最中に私が話した言葉「甘えを受け止める」と「甘やかし」の違い。この判断はとても難しいですよね。日々の生活の中で「わかっているけど、つい甘やかしてしまって・・・」という気持ち、十分わかります。でも、一見「甘やかし」に見える抱っこやおんぶなどは、甘えたい子どもの気持ちに添う大事な「甘えを受け止める」行為ですよね。そのことで子どもも愛されていると感じ、心が満たされていきます。一方、食事に関し、子どもが食べたがらないものは予め食事に出さない。これは典型的な「甘やかし」。子どもがするべき「片付け」や「自分の荷物を持つ」ことや、お店で不必要な物を欲しがって駄々をこねた時にかわいそうだからと買い与えてしまうことも「甘やかし」。あれ?何か見えてきませんか?心の甘えを満たしてやるのが「甘えを受け止める」で、物を介しての要求を満たす事が「甘やかし」になることを。物を巡る欲求は、成長と共に際限なく大きくなります。今、この年齢で我慢することを覚えさせる事は、大げさに聞こえますが人生を左右する大事な事なのです。ご家族で話し合ってみる価値があると思いませんか?
園長 畑山玲子
2017年1月
子どもも職員も「チャレンジ!」
「小学校以来だけど、できるかな・・・」と言いつつ、えいっ!と壁に向かって見事に美しい逆立ちをやって見せてくれたM先生。その前に、何の言い訳もせずに軽々と披露していたM先生。なら私だって、とやってみたら予想外にできなくて黙々と練習中のM先生。それらに触発され、子ども達ががぜん挑戦し出している。半袖下着シャツ姿になり真っ赤な顔をしながら・・・。それを自慢の美声で応援するM先生。
職員のこんな姿が子ども達のチャレンジ精神に火を付けるなら、逆立ちに限らず私たちは惜しみなくチャレンジする姿を子ども達に見せ続けたいものだ。はてさて、かく言う私は、何にチャレンジしようかな・・・。と考えていると、M先生が「冬の間にバナナのアイス作りをしてみたいんですけど」と提案。それとは別に、「お正月に書き初めをしませんか?」と提案するM先生。「甘酒作りはどうですか?」とM先生。さてさて、全て別々のM先生につき、新年早々、ぜひ「M先生当てクイズ」にチャレンジしてみてください!
園長 畑山玲子
2017年2月
「自分の時間は自分で管理」
「朝はラキューと機織りやって、雪遊びの後は給食を早めに食べて、また○○くんとラキューする。」と、時間経過の予測ができつつある4・5歳児の中には、自分なりの計画を立てられる子もいる。仮に、毎日保育者が仕切った時間空間の中に浸かりっぱなしだったら、冒頭の考えすら浮かばないでしょう。『子どもの思う通りにさせたらわがままな子になる』『入学後、本人が困る』と心配になるかもしれませんが、それは逆だと思う。大人から時間を与えられるのに慣れてしまうと、就学後も先生が仕切ってくれないと不安になるし指示を待ち続ける子になる。一方の子は、40分の授業時間を自分の時間ととらえ、授業の終わる時間も感覚で予想でき、その分落ちついて学びの時間にすることができる、かもしれない。 現に給食開始時間を個々のペースに任せているみどり保育園。2歳児でも、気がついたら大方の子が食べ始めているのを見て「あら失敗。明日はもっと早く準備して早く食べ始めよっと」と学習する。幼児だって自分の時間は自分で管理する時があってもいい。というか、それも算数と同じくらい生きて行く上での大切な学習ではないでしょうか。
園長 畑山玲子
2017年3月
「木育」
一市民として由利本荘市のウッドスタート宣言をとても嬉しく思っている。「木育」の主旨に添っているかは別として、木のぬくもりの中で子ども達の心を豊かに育てたく、みどり保育園でも保育に木をふんだんに取り入れている。カプラという積み木や電車のレール、最近導入したものは、木のアオムシが木の穴から磁石によって出し入れできる愛くるしいものなど、園内には木が溢れている。一番人気は精巧にできた木製のブロックで、無理をするとパリッと壊れてしまうのが、物を大切にする心を育てるのにも役立ってもいる。そのブロックは1歳児にも人気があり、専用テーブルの周りにはいつも誰かしらがいて、あたかも井戸端会議の雰囲気が漂う。屋内遊びだけではなく、雪融けと同時に遊び始めるであろう保護者と作り上げた園庭の丸太の遊具も、いまかいまかと子ども達を待っている。
数日前に全園児で小麦粉を捏ねてうどんを作ったが、大工さんからいただいた廃材を燃やして大鍋で茹でたところ、煙に不平を漏らしながらも子ども達は興味津々。これだって、ある意味「木育」もからんでいるかも。
園長 畑山玲子
子どもたちをみつめて-2015年-
2015年4月
2015年5月
2015年6月
『見守る保育』
子ども達も職員も新年度の生活に慣れてきて、毎日みどり保育園らしい自然と触れ合う遊びを楽しんでいます。また、再三お伝えしている「見守る保育」がしやすいように、各クラスとも保育室内の環境作りを一歩ずつ進めているところです。自分が遊びたい物で十分に遊べる時間と、やりたい遊びにとことん挑戦できる空間を作るにはどうしたら良いのか、みんなで考え中です。6月の保育参観日では少しだけ時間をいただいて、「見守る保育」 が決して放任な保育で無いことをお伝えしたいと思っています。“焼きそば”も、楽しみ!
園長 畑山玲子
2015年7月
『五感を育てる』
毎日毎日飽きもせず裏庭での遊びを楽しんでいる子ども達。裏庭には園庭には無い魅力がいっぱいなのでしょう。田んぼや水路のおたまじゃくしやドジョウ・小石をどけると姿を現すダンゴムシ・石窯小屋で草花やチョークを使っての色水遊び・吹き抜ける初夏の風の心地よさ・田んぼの土手の上り下り。それに加え最近は園の畑の野菜達の収穫が始まり、年齢を問わず夏野菜の収穫を楽しんでいる。暑さを感じたらお茶を飲み、衣服が汚れたら自分で着替えまた遊ぶ。そんな子ども達の目の輝きはまさに五感を働かせて遊んでいのがわかる。
園長 畑山玲子
2015年8月
『みどりの保育を全国へ』
みどり保育園の保育を県や東北大会で発表する機会をいただいたところ、思いもしない全国大会への切符を手にした。自然をいっぱい体感させる保育・地域の皆様とのつながりの深さ・最小限の手出し口出しの見守る保育。どれも心豊かでたくましい人に育てる大切なことばかり。この地域は子どもを育てるのに最適な場だととらえているが、この恵まれた地に甘えること無くさらに研鑽を積むため、8月初旬に、東京にある見守る保育の先進園へ4名の保育士が同時に研修に出かける。1法人1施設の小さな保育園の挑戦です。
園長 畑山玲子
2015年9月
『みんなで作った木製遊具』
青々と茂る草原に夏の日差しが惜しみなく降り注いだ8月2日(日)。みどり保育園の広場に集まったのは、保護者有志と子ども達、そして職員。 佐藤組の鈴木大工さんや高橋さんなどのご指導のもとで、汗をいっぱいかきながらの作業。力仕事はお父さん、子ども達は丸太を転がしてお手伝い。お母さん達は焼きを入れた丸太の汚れ落とし等と、暑い中、本当にそれぞれが力を出し協力し合いましたよね。その頑張りが子ども達に一番人気の木製遊具と形を変え、心から『バンザーイ』をしましたね。子どもの成長を願う保護者や地域の方の優しさに触れ、『みどり保育園の子ども達は本当に幸せ』をますます実感させてもらいました。
感謝でいっぱいです!
園長 畑山玲子
2015年10月
『発達を促す環境作り』
玄関に足を一歩入れた瞬間、思わず遊びたくなる遊び道具の整った遊びの場。子ども達がウロウロすること無くじっくり遊びに取り組み、その中で集中力や考える力や友達との関わり方を知っていく。保育者はそんな子ども達を見守りながら、発達過程にそった遊びのヒントをどんどん与えていく専門集団。一人一人が安心して過ごせるプライベートな時間や空間もきちんと保障される生活の場。そんなみどり保育園を目指し、保育室・遊戯室の環境の見直しが始まっています。これからどう変わっていくのか、とても楽しみです。
園長 畑山玲子
2015年11月
『あえて・・・』
遊戯室の床に背丈60センチほどの観葉植物を、置いている。以前は「子どもが倒す」と言う理由で置いていなかったし、置くにしても必要以上にしっかり固定していたに違いない。今は、子ども達が注意しながら生活できるように、あえて通り道に置いている。するとねらい通り無茶をせず、落ち着いて生活しているように思う。10年も前のこと、動いているブランコの前後が危険という理由で柵を取り付けた事があるが、その時ほどブランコでの怪我が多かった。柵に頼りすぎた子ども達が注意散漫になったからと分析しすぐに撤去した。子ども達を守るということは、安全なもので囲ってしまうのでは無く、ほんの少しの気をつけなければならない環境の中で、注意力を養うことだと思っている。給食の食器をあえて割れやすい瀬戸物に移行しようとしているのも、実はそんな意味からなのです。
園長 畑山玲子
2015年12月
『見守る保育・・・遊び方、ちがうんじゃない?』
子ども達の考えを尊重し、自分で考えてとことん挑戦できるような環境作りに取り組み始めて数ヶ月。やることが見つからず“さまよう子”は影を潜め、廃品での製作・充実したカードゲーム・ラキュー・鉄棒・縄跳び等々やりたい遊びにじっくり取り組みそれらを介して友達との関わりを増やしている。これが生きる力につながるのだろう。ただ、見守る保育をすればするほど、生活のルールを守らせることの意味と難しさを私たちは感じている。
「見守る保育」=「何をしてもただ見ているだけ」の楽な保育のイメージが捨てきれないと思うが、実は逆。個々に合った適切な声かけがとても難しい。子どもの心理を読みながら接することのなんと難しいこと。
しかし最近保育者が指示しない分、子ども達自身が自分のやることに責任を持たなければならず、ルールを守らないと遊べないことに気づいた子が多い。しかもそのルールを自分たちで決めたりする。しめた!これが園全体に広がったら、子ども達はもっと生活しやすくなるはず。
最近の保育者の言葉かけは「そんなことしたらだめでしょ!」ではなく「あれ?遊び方、ちがうんじゃない?」と、子ども達自身に何がいけないのかを気づかせるような方向へと転換している。
園長 畑山玲子
2016年1月
自己コントロールの力が身につくはず・・・機織り
○心の土台を豊かに育む〇我慢をすることを習慣づける○自己コントロールができる力を持たせる。そんな思いから年長児へ向けて始めたのが、やりたい子が自由に挑戦できる「機織り」。約束はたった一つ「自ら始めたのだから完成までやり通すこと」。【織機イネス ニック社(ドイツ製)】を目の前にすると、どの子も興味を示しやる気いっぱいで始める。そして大体10センチほど織ったあたりからことのほか完成が遠い現実に気づき、とたんに飽きてくるのがわかる。その頃からその子の素の顔が見え出すのでおもしろい。トイレやお茶を理由にしょっちゅう立ち歩く子、ため息つきながら仕方なく向かう子、「やらなきゃよかった!」と文句タラタラの子。でも、「よし!」と自分に気合いをかけて再開する瞬間があり、数日後には自信に満ちた笑顔満面で完成の時を迎えるのです。ちなみに機織り機は園長の机の目の前にあるので、子どもの心がおもしろいほど読み取れる。 完成品の出来映えはどうでもいい。「あー、もういやだ。」という思いをぐっとこらえ、自己コントロールしながら一段一段織り進めていった子どもひとりひとりの努力のたまものを、ぜひ手に取ってみて頑張った証を確かめて見てください。心のたくましさと生きる力がちょっぴり育ったことを感じますよ。
園長 畑山玲子
2016年2月
『雪遊び』
夏場、園庭などで子どもが大胆な遊びをすると私たちはつい「危ない」と見がちですが、雪の中だと大抵の事は目を細めて見守っている。それはなぜか。おそらく答えは、私たち大人も雪から育てられ雪をよく知っているからだろう。雪が降ったらつい触ってしまう、新雪を口にする、深雪に飛び込む、雪山によじ登る、跳び下りる、雪上を全力疾走、雪だるま作り、かまくら作り、雪合戦などなど、大体の大人がこれらを経験し、これらによって逞しさを身に付けてきたはず。そしてこれらにはきっと良き思い出が詰まっていることだろう。 夢中になり、心地よさを感じ、ときに冷たさや痛みも感じ・・でも『やっぱり楽しい!』と思う経験。 雪がからだ(心も身体も)を作る大切なツールということをこの地の大人が本能的に感じていることが、子どもたちの挑戦を見守る姿勢に繋がっているのではないだろうか。この恵まれた雪遊びも『雪国だけ』『今だけ』のもの。今遊ばなかったらもったいない。「心身ともにたくましい子に育ってもらいたいから、毎日の雪遊びは賛成!」と賛同してくれる保護者が少しでも増えてきたら嬉しいです。 園長 畑山玲子
2016年3月
何かのCMで「私たちの体は食べたものでできている」みたいなのがありますが、私たちが生きていくために毎日口にしている食べ物には様々な命があることに気づかされます。園児の年齢ではまだ理解できないことが多いですが、せめてその年齢なりに「ありがとう」の気持ちは持たせたいですよね。例えば、職員を入れて約50人分の食事をたった一人で作っている阿曽先生の存在はどうでしょう。「これ、味薄くて美味しくない。」「にんじん嫌いだから食べない」とテーブルの下にわざと放り投げる子がいたりで愕然とするのですが、そんな時は阿曽先生のありがたみを話しながら一緒に食事をするのです。あえて、苦手な子の多い茄子や椎茸でのクッキングをするのは食べる意欲を引き出したいから。むずかしい食育教室などは一切行いませんが、日々の食事を楽しく、おいしく、感謝していただくこと。そんな当たり前の繰り返しの食育活動の様子を、全国版である『こどもの栄養』という専門誌に年間を通して寄稿することになりました。保育士・調理員が交代で執筆。4月分は私が書かせてもらいましたが、食育活動を見つめ直す絶好の機会だと思っています。4月号が届いたら玄関の給食コーナーをぜひご覧くださいね。
園長 畑山玲子